すくすく通信通巻20号掲載 2016年10月発刊
目 次
「自然」の在りようを体得
道場での稽古目標を子供でもわかりやすいように「健康・美しい・強い」を略して「健美強」としています。
「健美強」の内、どれがかけても本物ではありません。
どんなに美しさを求めても健康を害するものであってはなりませんし、強さを求める余り美しさ(姿)を失ってはいけません。健康を求めすぎてリスクを廃し弱くなってもいけません。
この「健美強」を実現している姿が「自然」の在りようであり「自然体」です。
「自然」の在りようを探ることが道場であり、ある意味、自然科学研究所といってもいいかもしれません。
それほど自然の中(人間も自然の一部)に答えがあると考えています。
大敵は、緊張による固定化
「健美強」の大敵は、緊張による固定化です。
ストレスなどによる緊張は、思考や体を固めてしまいます。思考が固まれば、コミュニケーションがうまくいかず、成長・発展ができません。
体が固まれば、様々な流れ(血液・リンパなど)が滞り、力も発揮できずに、健康も危ぶまれます。
特に問題なのは、その緊張感が長く続くと緊張自体が習慣化してしまう事です。
習慣化しているので、自分自身緊張して余分な力が入っていることに気付けません。
例えば、「話す・食べる・手作業」するときに、顎と首の前側に力みのある方をあげてみます。
話をしながら、首前に筋が立ってしまう人などはわかりやすい例です。
良い声を出すためには首が力んではいけないのですが、首を力むことが習慣化している人は、止めるどころか力んでいる事に気付いていません。
首前が緊張(縮む)すれば、顔は前に引っ張られます。そのため重い顔(頭)(4~5㎏)を前に倒さないために、首の後ろ(僧帽筋など)は頑張って引き戻さなければならなくなります。
これが、肩こりの原因(全てではない)となります。 顎と首前を緊張させ縮める癖が問題だったのです。
「健美強」で検証してみれば、健康だけでなく、その人の本来の首の長さよりも首は短くこわばっているため美しさを損ないます。
もちろん武道においても力みからは強い力は発生しませんので技はかからず強くありません。
ほとんどの方は自分は力んでいないと・・・・。
このように「緊張」は大敵なのです。
※顎と首前を緊張をとる方法はあります。
「自然」には「ゆらぎ」がある
「~しなさい」「いうことを聞きなさい」や「~したの(追い越し先回り)」は、子供の動作を止めてしまいます。そのため「緊張」による固定を幼少期から習慣化してしまいます。
子供の自主的な余地がなくなってしまうからです。
風に吹かれる柳のごとし、自然界には「ゆらぎ」があります。心臓の鼓動、、目の動き、炎の揺れ、川や波の音、鳴き声など多数あります。人工物でも音楽(特にクラッシック)、電車の揺れなどがあります。
どれも心地良い「ゆらぎ」(1/fゆらぎ)です。
最近言われる「体を緩ませる」とは、この「ゆらぎ」を持つことで「健美強」の基本も「ゆらぎ」を持つことになります。
ところが、姿勢を良くすることが、動作を停止し「微動だにしない」ことと誤解している場合が多いのです。
本人はリラックスしているつもりでも、部分緊張はとれず、いざ何かをするときには小刻みに震えるなど過緊張状態になります。
道場には「バランス」しないバランスという稽古があります。片足立ちで固まらず、ぎりぎり転びそうになりながら転ばないという稽古です。
ぎりぎり崩れない「ゆらぎ」を持たせるのです。
これを1分も行えば子供の表情・雰囲気は一気に変わり(高揚)、効果は絶大です。
固まらず「ゆらぎ」を体得し、その大切さを知れば、自主性のある子供がますます自由に動き始めます。
この自然の在りようを身につける稽古を大切にしてまいります。