私の空手との出会い

どのような指導や稽古を行っているのかをご家族お知らせし、お子さんとのより本質的な対話につなげていただければと思います。
なにより子供が道場で学んだことがご家族との対話と連動されたとき、その成長に大きな効果をあらわすからです。
道場では武術に限らず、人間として必要な事は何でも教えて行きたいと考えています。
会話術の稽古も取り入れています。

子供が成長するには時間がかかります。道場では目の前の今この瞬間の形を整えたり、結果を求めるのではなく、将来に実る確かな指導を心がけています。

私の空手との出会い

少し自己紹介をさせていただきます。
私は19才の頃「極真空手」の門を叩きました。
元々文系だったのですが、当時はやっていたマンガ「空手バカ一代」の影響をうけ入門しました。

当時はほとんど小学生の道場生はおらず、ほぼ大学生以上の道場生でした。
その後33 才くらいまで毎日のように稽古をしておりました。
黒帯をとりたい一心で毎朝走り込みもしており、今思えば「良くやってたなー」と言う思いです。

また、平行して塾の講師をしておりました。
その結果、接触し関わった青少年の人数は千人をくだらないと思います。

特に道場(当時多いときは大学生以上で常に100人以上いた)で指導を任されてからは青年教育に関心をもち自分なりに賢明に勉強しました。
特に関心があったことが、どういう家庭や環境で育った子供が、どのような人間に成長するかということでした。

30 才を過ぎれば本人の責任もありますが、10 代20 代の年齢ではその生い立ちが色濃くその人となりや人生観に影響していたからです。

私も親元をはなれて自炊していたので、ひとりひとり夕飯にさそってはよく話を聞きました。様々な家庭や個人があり学ばさせていただきました。
いま思えばこの頃の財産と言えばこのことが一番大きいです。

心の成長には心の教育が必要

自身の稽古や指導をしながら痛感しますのは、稽古量や空手の実力が、必ずしも人格と結びついていないと言うことです。
単に空手などの猛稽古をしても身体技術の向上によ
り大会などでの成績はあげられても、人間としての成長、心の成長には繋がらないからです。
当時実際に空手のチャンピオンや有段者が不祥事を起こしたり、黒帯でも日頃の姿勢や態度が悪く、とても人格的問題のある人が多くいました。
昨今では柔道界や相撲界での不祥事の例もご存じのことと思います。
「健全なる精神は健全なる身体に宿る」ということわざがありますが、古代ローマ時代(60 年 ~ 130 年)の風刺詩人ユウェナリスという人の書いた詩で実は誤訳です。

「身体を鍛えれば自ずと精神も向上する」と解釈されがちですが、本当の意味は「強健な身体に健全な魂があるよう願うべきである。」です。そしてこの後、誘惑に打ち克つ勇敢な精神を強く求めている詩が続きます。
余談ですが近世の世界大戦時、ヨーロッパを始めとする各国が軍国主義を推し進める為にわざと歪曲したという説もあります。
いずれにせよ、心の成長には心の教育が必要であり、
身体的稽古も大切ですが、それ以上に心の稽古が必要です。

会話術・交流術の稽古の導入

道場では礼節・道場訓・身体操作術・空手・護身術を総合的に稽古しております。先にも書きましたが今月より、会話術・交流術の稽古も始めました。
自分の意見や気持ちを相手に伝えることや、相手の気持ちを探り和すること。言っていること(体の耳)以上に言わんとしている事を聞ける(心の耳)力を育てることなどです。

相手の言っていることは聞こえますから、身体の耳で聞けます。
しかし相手の言わんとする事は身体の耳には聞こえませんから、心の耳で聞くことになります。
相手の言わんとする事を聞くことが心の稽古であり、聞こえるようになることが心の成長です。
相手を思いやる心、聞こうとする意志がなければ決して相手の心の声は聞こえません。
道場で習い日常で実践する事が肝要です。
今後も子供の成長に必要な事はどんどん取り入れて行きたいと思います。

心技体一致の教育

道場で大切にしていますのは「心技体」がバラバラではなく一致した道理を教えることです。
「心」にとって大切なのが” 優しさや調和” で、「体」は” 怒りや反発” で力を発揮するでは「心技体」は一致していません。
「心」にとって大切なことが” 優しさ” であるならば、「体」も” 怒って弾はじく” よりも” 優しく触れる” 方が強くなければ「心技体」一致の境地には至れません。
アニメや格闘技の影響もあり(※アニメでは主人公が怒りで強くなる場合が多い)、信じられる方は少ないかもしれません。
しかし実際は「怒り」よりも「優しさ(自然体)」の方が武術としても人間としても強いことを子供達に実際に教えていきます。
道理にかなうことが観念では無く実際の強さである事を体験させ、実感を伴って教えられるところが武道のすばらしいところであると思います。

「武術」が強くなること以上に、一人の人間として、心の深みや不動心、学校や社会で道義を通すことのできる力、ひいては家庭を形成し社会貢献できるよう育成することこそが必要だと考えています。

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